多彩な表現ができることで選ばれる「昇華転写」
現在ののれんでは一般的な手法になっているのが
「昇華転写」という染色法になります。
この染色技法の特徴としては、ポリエテル繊維を
直接転写で染めることが出来る点にあります。
各種の土や鉱物由来の顔料を使用した染色では塗膜をもっているので
生地の上にいかにも塗料が乗っているような印象を持ちます。
これに引き換え、「昇華転写」では、生地の風合いを損なうことなく
そのまま染まる感じでの仕上がりに製作することが可能です。
この染色法の手法ですが、大型インクジェットプリンターを使用して
専用転写紙に分散染料の水性インクを吹き付けて出力することから始まります。
出力した用紙にポリエステル生地を重ねてプレス機で圧力を加えます。
このプリントインクは約200度の熱を加えて、そのまま約1分間
圧力を加えることで、ポリエテルの分子構造の中に染料が浸透し
その後の冷却によって染料を生地にとじこめます。
そのまま染料を吹き付けるだけではなく、加熱高温処理を加えて
製作することで、耐久性の高いのれんに仕上げることがかないます。
鮮やかな発色と堅牢性を兼ね備えていることで、長期的な使用にも
耐えるのれんを実現できることから、最近では主要な染色方法に
なっています。
昇華転写のメリット
「昇華転写」ののれんは、先ほど発色の良さと堅牢さを
具備していると御紹介しました。
それでは、具体的にはどのような内容を持っているのでしょうか。
この点で特に指摘されているのは、発色の鮮やかさと、
インクのひび割れが無い・生地とデザインの一体感を
挙げることが出来ます。
「昇華転写」プリントはとにかく発色がいいので、一般的な
デザイン画などだけでなく、デジタルデータや画像データも
そのまま転写することが出来ます。
そのおかげで、細かい文字やグラデーション・リアルタッチな
画像表現も簡単です。
また、従来の染色法では完成後に、色落ちや塗膜のひび割れなどが
観察されることがありました。
これに引き換え、「昇華転写」生地に直接染料が浸透するので
塗料が繊維の一本いっぽんに閉じ込められるので、ひび割れなどが
起きる心配がないのです。
しかも耐久性が非常に高いので繰り返して、洗濯を行っても
デザインに影響を及ぼす恐れもありません。
汚れなどが目立つようになっても、気軽に洗濯できるのもメリットです。
そして「昇華転写」は生地に浸透するので、デザイン案の意匠をとわず
違和感を一切感じることなく生地との一体感の強い、自然な仕上りの
風合いにまとめることも可能です。